天に還る舟「天に還る舟」 島田荘司・小島正樹 著休暇を利用し、妻の実家にやってきた警視庁捜査一課の中村刑事が連続殺人に巻き込まれ、所轄でもないのに独自に捜査を行う、というストーリー。 トラベルミステリ、見立て殺人、密室だけでなく、そこに旧日本軍の中国での悪行、冤罪についての考察など、本格ミステリと社会派ミステリが融合されている。「奇想、天を動かす」を思い出してしまった。 こんなアクロバットトリックありか?と、つっこみたくなる部分もあるが、それはそれ、この作者だもん、これぐらいやらなきゃね。 事件解決後、犯人や関係者の手記が紹介される、というのはいつものパターンだけど、ここまでリアルに(残虐に)書いてあると、靖国参拝で中国、韓国からあれだけ抗議が出るのも判るような気がする。 ワトソン役の海老原も素人探偵として、いいキャラだし。ラスト近くで吉敷登場するのはファンサービスか。 天に還る舟 |